論文の書き方⑥

カナダは雪も溶けてきて路面が見えるようになってきました。え?もうそんな季節?一回しかスキー行けてへんのにいいぃ💦 Yareyareです。

さて、以前の記事で触れた論文の書き方⑤ - やれやれ獣医の留学日記 (hatenablog.com) 3本目の論文について、途中経過の報告です。

 

この論文はスコーピングレビューといわれるレビューの一種なので、普通に実験をして結果を書くといったものではありません。文献を体系的に検索し、該当する文献がどんなものかを記述するものです。システマチックレビューと似ていますが別物です。例えば、システマチックレビューでは「離乳前の子牛に鼻腔内ワクチンを投与した場合としなかった場合で、呼吸器疾病率はどう異なるか?」という具体的なResearch Questionに基づいてメタ解析するのに対し、スコーピングレビューでは「鼻腔内ワクチン投与と呼吸器疾患の関連性は?」といった具合に目的がやや大まかになります。システマチックレビューの前段階にもなり得ますが、それぞれ目的が異なるタイプのレビューです。

 

具体的な方法としては、いくつかのデータベース(PubMed, CABI, Agricola, Scopusなどなど)であらかじめ決めておいたキーワードを入力し、該当する文献をかき集めます。あ、ちなみに大動物の臨床関係の論文は、CABIが一番多くヒットするようです。PubMedのだいたい倍くらいの論文数が拾えますが、研究内容によって変わると思うので参考程度まで。

 

すべての文献が目的に合致しているわけではないので、そこから関係の無い文献を除外していきます。膨大な量の文献をひとつひとつみていくので、効率的かつミスの無いように2人1組となり、あらかじめ作成した質問票に答える形で文献を機械的に振り分けていきます。互いに齟齬があった場合は話し合ったり、第三者に意見を求めたりして、サクサク篩い分けます。これらのステップをあらかじめ全部プロトコルとして作成し、質問票も最初は5人くらいで100本くらい試して直すべきところは直し、より良いものに仕上げていきます。なかなか手間暇かかるのですよ、これが。

もちろん手作業ではありません!これ専用のシステム(DistillerSR)を使えば大変便利。文献のリストをDistillerにアップロードして、クリック一つでババーっと質問に答えていきます。最初はタイトル/抄録のみ読んで振り分け、次は本文を読んで振り分け、最終的に残った文献から必要なデータをピックアップしてまとめます。

これけっこう時間がかかるわりに、データベースで検索した日から時間が経ってしまうとアカンのですわ。日ごとにどんどん新しい論文が出てきますからね。

 

それで結局昨年の10月くらいにジャーナルへ提出したのですが、エディターからのコメントが「メタ解析もした結果を載せよ じゃないとダメ」と言われ、

「いや、それは目的が違うからまた別の論文になるのですよ」と、いろいろ押し問答がありましたが結局別のジャーナルへ再提出することになり、そこは3日くらいで「ダメ」との返事があり、

現在3つ目のジャーナルへ出して2か月以上経ちましたが、未だに返事がありません。データベースで検索してから1年以上経っています。先生と相談した結果、催促のメールを(2回目)来週送ってみます。もー。

 

今回学んだこと → 英文メールでの喧嘩文句の書き方。

わはは。いや、笑いごとちゃう。